義足と障害年金に関するQ&A

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 湯沢和紘

最終更新日:2024年01月29日

義足と障害年金に関するQ&A

Q義足で障害年金は受給できますか?

A

 受給が認められる場合が多いと考えられます。

 障害年金では、下肢の欠損障害という認定基準が定められています。

 義足を装着されているということは、下肢の欠損が前提となっていると考えられますので、認定基準に応じた障害年金の受給が認められることになります。

 ただ、認定基準を満たしていても、初診日の特定、保険料納付といった、障害年金の受給要件を満たしていなければ、そもそも障害年金を受給できない場合がありますのでご注意ください。

Q義足で申請する際の注意点はありますか?

A

⑴ 初診日について

 お怪我などで下肢の切断に至った場合には比較的問題とならな い場合が多いといえますが、糖尿病の延長で壊疽を起こし、下肢を切断せざるを得なくなるような場合もあります。

 障害年金は、初診日を基準に整理されている制度といえる側面があり、下肢の切断が直近であっても、原因が糖尿病であれば、10年以上の長期にわたって治療をしていることもあります。

 引っ越しに伴う転院等で初診の医療機関の記録が破棄され、初診日の証明ができなくなるようなことがありますのでご注意ください。

 

⑵ 障害認定日の取扱いについて

 障害年金の受給が認められるか否かを判断する基準となる日として「障害認定日」が設定されます。

 通常は、初診日から1年6か月経過時点を障害認定日としていることが多いですが、下肢の切断が初診日から1年6か月以内だった場合(例えば事故等にあって緊急入院をし、数日のうちに手術で下肢を切断したような場合)、切断した日をもって障害認定日とされます。

Q義足で障害年金を受給した場合はいくらもらえますか?

A

 等級は複数ありますが、義足となると、片足か、両足かで分かれることになるかと思います。

 認定基準上はリスフラン関節、足関節(ショパール関節)、足指が主に問題となりますが、義足は基本的に足首より上の部分が欠損しているかと思います。

 そのため、片足が義足ということであれば2級、両足であれば1級という場合がほとんどになってくると予想されます。

 2級の障害基礎年金は年額約78万円、1級は約97万5000円で、障害厚生年金の場合、報酬比例の年金額が加算されます。

 その他、配偶者加算、子の加算等があります。

Q義足で障害年金を申請する場合の流れはどうなりますか?

A

 ご事情にもよりますが、まず初診日を明らかにするために受診状況等証明書を取得、下肢を切断した日(障害認定日)時点の診断書を取得(現在の診断書が必要となることもあります)し、申請書類を整え、年金事務所(公務員等の場合は窓口が共済組合となる場合もあります)に提出し、審査を受けることになります。

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