障害年金の遡及請求に関するQ&A

文責:所長 弁護士 岡安倫矢

最終更新日:2025年09月09日

障害年金の遡及請求に関するQ&A

Q障害年金の遡及請求とは何ですか?

A

 障害年金の遡及請求とは、障害認定日に遡って障害年金を請求することです。

 障害年金の申請方法には、認定日請求と事後重症請求の2つがあるのですが、遡って請求することができるのは認定日請求の場合だけであり、障害認定日において障害の重さが等級に該当する場合に、障害認定日から申請時点まで(時効の問題があるので最大5年間)の障害年金を請求することができます。

 まず、障害年金の制度では、障害の原因となった病気やケガで初めて診察を受けた日を初診日といい、障害の重さが等級に該当する程度かを判断する日を障害認定日といいます。

 そして、障害認定日は、通常は初診日から1年半が経過した日となります。

 障害認定日において、等級に該当する程度の障害があると認定され、保険料の納付要件等のその他の要件を満たしている場合には、障害認定日に障害年金を受給する権利が発生し、翌月分から支給されます。

 これに対して、障害認定日時点では、障害の重さが等級に該当する程度のものではないと判断されたり、病院等に通院していなかったため客観的な資料がなく等級に該当するかどうかが不明な場合には、事後に障害の程度が重くなり等級に該当する程度になったとして障害年金を申請でき(事後重症請求)、申請した日に障害年金を受給する権利が発生し、翌月分から支給されます。

 障害年金を受給する権利は障害認定日か申請した日にしか発生しないとから、障害認定日の後で障害の程度が重くなった場合や、障害認定日に通院していなかった場合には、症状が重くなった時点や通院を再開した時点から障害年金を受給することはできず、申請した日からの障害年金しか請求することができません。

Q遡及請求に必要な資料はなんですか?

A

 障害年金の遡及請求をするためには、障害認定日時点に、障害の重さが等級に該当していたことを示す必要があるため、障害認定日時点の診断書が必要になります。

 そのため、障害認定日時点で通院していた医療機関に診断書の作成を依頼することになります。

 障害認定日時点で通院していない場合や、医療機関が廃院等になっている場合は、診断書を取得することができず、遡及請求をすることは困難になります。

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