障害年金と老齢年金の併給は可能か

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 湯沢和紘

最終更新日:2023年01月24日

1 障害年金と老齢年金の関係

 障害年金も老齢年金も、20歳以降年金保険料を納め、その後一定の条件を満たした後に受給を受けるものであるという点では同様です。

 そして、「一人一年金の原則」というものがありますので、基本的には、障害年金か老齢年金、どちらか一方しか受給できないというのが原則、ということになります。

 これにより、まずは障害年金を受給するのか、老齢年金を受給するのかを選択していただく必要があります。

2 65歳以上の方の場合の特例

 上記1のとおり、基本的には、障害年金か老齢年金はどちらか一方しか受給できません。

 しかし、65歳以上の方については、特例として、障害基礎年金と老齢厚生年金の受給を選択することができます。

3 基礎年金と厚生年金

 上記2の前提として、基礎年金と厚生年金について確認していただく必要があるかと思います。

 大雑把なイメージとして、給与所得者は給与天引きで厚生年金を支払っており、個人事業主や一時的に求職中の方等はその間国民年金を支払っている、年金は国民年金と厚生年金の2階建てになっている、という老齢年金の概要についてはご存知の方も多いと思います。

 障害年金も2階建てになっている点は同様で、障害年金2級以上の方で、かつ障害厚生年金を受給できる場合(初診日の時点で厚生年金に加入している場合)には、その両方を受け取ることができる、というものになっています。

 基本的には上記1のとおりの選択となるため、障害年金(障害基礎年金+受給資格がある方は障害厚生年金)か、老齢年金(いわゆる国民年金+老齢厚生年金)のいずれか一方を選択することになります。

 そして、上記2の例外として、1階は障害基礎年金とし、2階は老齢厚生年金とする選択が可能とされています。

4 選択の意味

 いわゆる国民年金は、未納があったり免除を受けていたりすると、受給額がその分減っていきます。

 他方、障害基礎年金については、2級の場合は老齢基礎年金満額と同額、1級の場合は1.25倍の金額の受給となっています。

 最近は多くの方が4年制大学まで通っていることが多く、その場合に学生特例を利用して在学期間中の納付猶予にしている方も多いと思います。

 その後納付すれば満額受給となりますが、追納していなければ、満額の老齢基礎年金は受給できません。

 そうなると、基本的には基礎年金部分の額は、障害基礎年金の方が、受給額が高くなる可能性が高いケースが多いといえます。

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