HIV感染症で障害年金を請求する場合のポイント

文責:所長 弁護士 岡安倫矢

最終更新日:2025年05月01日

1 HIV感染症での障害年金申請について

 HIV感染症も、受給の要件を満たしていれば障害年金の受給が認められます。

 以下では、申請についての要件やポイント等についてご説明していきます。

2 初診日について

 障害年金の申請においては、初診日(申請傷病について初めて医療機関を受診した日)が重要になってきます。

 「申請傷病について初めて」ですので、HIV感染症と診断された日(確定診断といいます。)とはならない可能性があります。

 特に、HIV感染症の初期症状は風邪やインフルエンザに似た症状が出るとされ、かつ数日程度で症状も消えてしまうとされていることから、過去に風邪だと思って通った内科等を受診した日が初診日であるということがあります。

 また、潜伏期間が長く、感染の事実が何年も後になって発覚することもあり得ます。

 その場合、カルテ等の医療記録が残っているかという問題が生じることもあります。

 HIV感染症のこういった特殊性から、感染に至った経過等をできるだけ明確にしていき、初診日の通院先となる医療機関を明らかにすることがポイントとなってきます。

3 保険料納付について

 保険料納付要件については、HIV感染症か他の申請傷病かで大きな違いはありません。

 基準としては、初診日の属する月の前々月まで(例えば4月10日が初診日の場合は2月分まで)の納付状況について、①直近1年間で保険料の未納がないか、②納付開始から現在まで1/3以上の未納がないかのどちらかを満たす必要があります。

 免除手続きを経た上で納付していない分は未納とは扱われませんが、上記の要件を判断するのは初診日の前日時点で、となっているため、後日免除手続きをとったからといって納付要件が事後的にクリアされるわけではありませんのでご注意ください。

4 障害状態について

 HIV感染症の障害状態の認定基準は、大枠として、検査項目の数値についての基準、症状についての基準、HIV感染症の既往歴の有無等という3つの観点から総合的に定められています。

 検査項目は、例えばCD4値について3級では350/μl以下、1級及び2級では200/μl以下とされています。

 その他、白血球数、ヘモグロビン量等の項目があります。

 身体症状については、例えば月に7日以上の不定の発熱、1日に2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上、生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限等があります。

 数値が一定以下、身体症状が一定数以上発現している等といった状態から、最終的な等級が定められます。

 数値は検査次第ですが、身体症状については、しっかり医療機関に伝えていないと、医師も実際の症状を捉えた診断書の作成ができなくなってしまいますので、通院中にしっかり医師に病状を伝えることが大切になってきます。

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